携帯充電器の電圧と、人体に及ぼす影響
携帯の充電器で感電し、子供が大怪我をする?!
2018年2月13日。
知り合いのシェアで、こんなツイートが回ってきた。
口腔外科の友達から『携帯の充電器の先端口に入れちゃった子が感電して口の中から顔までぐちゃぐちゃになって救急に来た』て話聞いてからコード繋いだままの充電器を怖くて子どもの目に入るところに放置できません
— しえる (@ciel_ik) 2018年2月11日
いわく、携帯の充電器の先端を口に入れてしまった子供が
感電により口の中から顔までが「ぐちゃぐちゃ」になってしまったのだという。
だが結論から言うと、
通常の使用状態であれば、こんなことはまず起こらないだろう。
日本の家庭の電気でこんな酷い状態になることは、ほとんどない。
もちろん赤ん坊が電気のコネクターを舐めるのが安全とはいえないため
電気の流れるものは、
できるだけ子供の手の届かない場所においておくことが望ましい。
だが、このツイートを読んで、
「そんな大きな事故になるのか」と極度に心配する必要はない。
携帯充電器の電圧と、人体に及ぼす影響
2018年現在、
携帯の充電として一般的なのは、USBと同じ5Vの電源である。
大きめのボタン電池やより少し高い程度の電圧だ。
通常の場合、これが口の中に流れるとどうなるか?
答えは「辛いように感じる」程度である。
誤飲をすると非常に危険な行為であるため、全くもって推奨できないが
子供時代の悪ふざけなどで、電池を舐めたことがある人もいるだろう。
あの時のピリっとした感じだ。
(安全に確かめたい場合は、電池から導線を引いて舌に当ててください)
長時間触れていれば、当然影響は出るが
舐めた、かじったの短時間でツイートにあるような症状が出るとは考えにくい。
ボタン電池の危険性
少し話はそれるが「ボタン電池を飲み込むと非常に危険である」
という話は、特に子供のいる親を中心によく知られているだろう。
舐めた程度であれば問題のない電圧だが、
胃壁などに引っ掛かり、
長い時間同じ場所にとどまり続けるとなると話が変わる。
触れている身体の組織を少しずつ焼いてしまうのだ。
太陽の紫外線も、短時間浴びる分には何も問題ないが
長時間浴びると火傷のようになってしまうのと、よく似ている。
しかも起こる場所が体内であるため、処置が大変になる。
だからボタン電池は電圧が低くても誤飲してしまうと危険なのだ。
家庭の電源による感電
話を元に戻そう。
前述のような理由により、
充電器のケーブルを口に入れたからことが、事故の原因であるとは考えにくい。
何か他の問題が起こっていたと考えるのが妥当だ。
例えば唾液を通じて、充電器を刺していたコンセントからの感電だろうか?
だがこれも、可能性は薄い。
日本の家庭用コンセントの電圧は100Vだ。
だがこれも、身体の組織を「ぐちゃぐちゃ」にするには、電圧が低すぎる。
家庭用の電源からの感電による被害は、
ひどい火傷よりも、体内に電流が流れたことで発生する心室細動が主なのだ。
100V、200Vで感電したとしても、ここまでの被害が起こるとは考えにくい。
事故の原因は何か?
つまりこの事故は、
普通の状態では起こりにくい何かが起きていると考えるのが妥当だ。
一体何があったのか。
このツイートの情報だけでは、考察することが難しい。
1つ可能性があるとすれば、雷サージだ。
雷サージとは、近くに落雷があった時、
その電流が様々なところに流れていく現象のことだ。
子供が充電器を口に含んでいる時に、近くに落雷があり
その電気が外の電線から家庭内の電線、充電器と伝わっていく。
これならば
感電で「ぐちゃぐちゃ」になるほどの電気が流れる可能性もある……かもしれない。
真偽入り乱れるインターネット
このツイートは「友達から聞いた話」だそうで、
明確な情報源が特定できている訳ではない。
故にデマである可能性もある。
デマならデマでいい。可哀想な子供がいないのだから。
ただ、やはり小さな子供に関する情報だからだろうか
かなりのリツイート数もあり、広く拡散されているようだ。
もしデマであるならば、
このような噂が拡散し、
充電器のメーカーが消費者から厳しい目を向けられるようなことだけは
起こらないでほしいと思う。
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