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効果的なマーケティングという思想はジェンダーギャップを加速させるのか

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マーケティングの基本的な考え方

個人か企業かに限らず、仕事をしていると
その情報を「どんな人に」届けるかを考えるのはとても重要だ。
ターゲットは男性か女性か。
子供なのか若者なのか、老人なのか。
例えば、赤ちゃんの子育て情報ならば20代~30代の女性がメイン、
介護情報ならば、親の介護を担うようになった50代以降がメインとなるだろう。
そのようにして、サービスやモノを買うのは「どんな人か」を考える
それがマーケティングの基本的な思想である。

 

マーケティングとジェンダーの親和性

ジェンダーとは男と女を社会的な立場で区別する考え方だ。
大雑把にいえば「男らしく」「女らしく」という思想がこれにあたる。
そしてジェンダーはマーケティングと深い結び付きがある。
例えばスカートを売るとしよう。
日本ではスカートは女性の衣類と認識されている。
よって売る側は女性をターゲットにデザインし、広告を打つ。
もちろん男性がスカートをはく自由もある。
しかし女性のものとされているスカートをはく男性は少ない。
つまり自由だからといって男性をターゲットにしてみても、明らかに効率が悪いのだ。
そうして女性向けのデザインのスカートが、女性をターゲットに広告され
「スカートは女性のもの」というジェンダーが、より強固に固定されていく。
この例はスカートだけではない。
ネクタイ、ストッキング、調理器具、日曜大工道具、育児用品、キャンプ用品。
様々なもので、同じ現象が起きている。

 

文章とマーケティング

もちろん文章を書くうえでもマーケティングの思想は重要だ。
そして誰に向けて書くかによって、使う単語や口調、文章の長さなどが変わる。
例えば主婦向けの文章であれば、柔らかい口調で漢字を使いすぎないこと
働く男性向けの文章であれば、シンプルな断定口調にするなどだ。
もちろん、堅い口調や漢字の多い格式張った文章が大好きな主婦もいる。
柔らかな口調で書かれた、なめらかに流れる文章を好む働く男性もいる。
だが「こういう人が多い」というマーケティングの思想から見れば
そこにターゲットを絞った書き方をするのは効率が悪い。
そうして女性はより柔らかに、男性はより堅く生きることを強いられる。

 

マーケティングによるジェンダーギャップの加速

前述の通り、マーケティングはジェンダーと親和性が高い。
調理器具の広告のメインターゲットは女性だし、
日曜大工道具広告のメインターゲットは男性だ。
そうしてそういう広告が「料理は女性」「日曜大工は男性」という概念を固定化する。
間違いなく、マーケティングはジェンダーギャップを加速させている。
しかし時代は少しずつ変わっている。
例えば、煙草。
昔は煙草を吸う男はカッコイイという方向で広告されていたものが
今は、煙草を吸うときは周囲に配慮しながら吸うという方向の広告が増えた。
ジェンダーギャップについても、
マーケティングが固定するイメージに逆らう消費者が増えていくことで
流れが全く違う方向に動くようになる日が来るのだろう。

 

ジェンダーギャップの解消と個人の「らしさ」

例えば国会議員における女性議員の数が少ないことなど
是正しなければならない男女格差、ジェンダーギャップも少なからずある。
もちろんマーケティングにおいても、
時に見直しをしたり、別の考え方を取り入れなければならない場合もあるだろう。
とはいえ、全てのジェンダーギャップが解消されるべきだとは私は考えない。
男性が「スカートをはきたい」と思う必要はないし
スカートが好きな女性はそのままでいていいと思う。
スカートがはきたい男性やスカートをはきたくない女性を社会が排除しなければ
それで十分「男女平等」ということができると思っている。
つまり、ジェンダーギャップを解消するためだからといって
スカートの広告が男性にも「欲しい」と思わせるものである必要はないと思うのだ。


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