工業×執筆 のハイブリッドな視点から工業、製造業の世界を言葉にする

くだらない?いいえ、それも強みです(多分)

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学生時代の青い妄想

学生時代、私は妄想していた。
社会人になったら、どこかに行きつけのお店の一つでも持ち
仕事帰りにフラリと立ち寄れば、
すっかり顔なじみになったマスターが笑顔で迎えてくれる。
慣れた様子でカウンターの決まった席に腰を下ろした私は一言。
「いつもの」
すると、お気に入りのドリンクがスッと目の前に差し出されるのだ。

 

理想と現実

残念ながら妄想は妄想。
社会人となった私を待っていた現実は、
見たこともないような広大な田んぼの中に、唐突にそびえる社屋だった。
まるで大海原に浮かぶ小さな島。
うん、そうだね。いわゆる陸の孤島というやつだ。

当たり前だが行きつけにしたいような小洒落た店はない。
通勤は当然、自家用車。
会社帰りに「ちょっと一杯」と呑みに行くことは不可能だ。
さらに言えば、当時は毎日日付が代わる頃まで残業していたので
会社帰りにどこかで一息入れるような余裕は持っていなかった。

そんな訳で妄想は露と消え、
残された現実では、仕事やプライベートにせわしなく駆け回る日々。
妄想が叶わなかったからと言って不満があるわけではなく
たまに思い出しては、笑い話のネタにしてみたりして……。
その程度の話になった。

 

思いがけない気づき

しかしだ。
転機は唐突におとずれる。
その日、私はコーヒーを買いに出かけていた。
欲しいのはレギュラーコーヒー、つまりコーヒー豆を挽いたものである。
スーパーなどで手に入るものは、好みの味ではない。
なので家から少し離れたところにあるコーヒー豆専門店に行く。

ちょっとたてつけの悪い、しなびたドアを開ける私。
従業員を雇っていない店だから、迎えてくれるのは当然店主だ。
私の顔を見て店主は言う。
「いつものですか?」
私は答える。
「はい」
喫茶店ではないから、椅子はレジ前のカウンターのところに2、3脚しかない。
何となくの流れで入り口から一番近い椅子に座る。
むしろ一人で来ているのにわざわざ奥の椅子に座る人は稀だろう。
店主と他愛ない世間話をしながら、豆を挽いて密封してもらうのを待つ。
代金を支払い、コーヒーを受け取って店を出る。
駐車場に向かって歩いている時に気がついた。

んっ?!これって、まるであの妄想みたいじゃないか!
(ちょっと違うけど)

 

つまらないことでも価値はある

ここに綴ってきたのは、我ながら本当にくだらない話だ。
でも、いつの間にか妄想が実現していたことに気づいたときは
何だかちょっと笑えて、何だか少し幸せだったのだ。

くだらなくたっていいじゃないか。
こういう些細なことに幸せを見いだせる精神構造は、
もしかしたら、私の強みの1つなのかもしれない。
というのも先日、私の取材は雰囲気が明るいと言われたのだ。
楽しい気分で話してもらえたら、私もうれしい。
でも、葬儀屋さんには勤められそうにありませんね。


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